別れたオトコと会う時は

『妊娠12週です。』


会社を休んで一人で行った病院でそう言われた時、目の前が真っ暗になった。


一何故?


途方に暮れながら、わたしはふらふらと街を歩いていた。


『アレ?ハナコちゃん?』


懐かしい声がした。



高校卒業まで、バイトしていた映画館の先輩、マサヤさんだった。


マサヤさんの笑顔につられてわたしは微笑む。


『お久しぶりです。』


『元気?』


『…はい!』


『もう昼メシ食った?時間あれば一緒にどう?』


そういえば、朝から何も口にしていない。



それどころか、ここのところ満足に食事していない。