別れたオトコと会う時は

『ハナ。』


わたしが顔を上げる。


『ずっと、笑ってろよな。』


思わず溢れそうになる涙を精一杯堪えながら、わたしは微笑んだ。


『…サンキュ、ハナ。』


アイツは淋しく、笑った。


それからアイツは、わたしに話しかけてこなくなった一。






生理が来ないことに気付いたのは、その2ヵ月後のことだった。


体の変化に『もしや…』と思うこともあったが、あえて気付かないフリをしていた。


突然の吐き気をもよおした時、わたしは確信した。


『妊娠…してる。』


足もとがグラグラ、揺れていた。