別れたオトコと会う時は

『泣かせてばかりで、ごめんな。』


アイツの手が、わたしの頭をくしゃ、と乱す。


『そんなこと…。』


頭の上のアイツの手が止まる。



わたしは決意したように、アイツに言う。


『わたしのこと、嫌いになっていいよ。もっと、怒っていいよ。』


『ハナを嫌いになる理由が無いし。』


アイツはポケットからお財布を取り出し自動販売機に小銭を入れると、オレンジジュースのボタンを押した。


『ハナを怒る理由も資格も、オレには無い。』


落ちてきたオレンジジュースを拾い上げ、わたしに差し出す。


『ハナを泣かせたくない。』