どんよりとした空から視線を外し、わたしは目を伏せた。


ふと、懐かしい姿がガラス越しに目に入る。


心臓がドクンと、大きく波打つ。



かつての恋人一。


見間違えるはずは無い。



十年ぶりに見るアイツの姿だった。


わたしは目を反らせず、アイツの姿を見ていた。


けだるそうに歩くアイツ。


時計に目をやる仕草も。



『変わってない…。』



わたしが一人呟いたその時、不意にアイツが顔を上げた。


目が、合った一。