ガラガラッ
ピシャリッ!
ガチャ。



……ん?

勘違いでなければ

今、鍵、締めましたよね?



空き教室に引きずり込まれ、

目の前には

逆光で表情がいまいち読みとれない右崎。

背面には壁。


その壁に

右手を添えて巷で噂のあのポーズをとる男。



詰まるところ、

KABEDONなぅ——である。



状況把握に手間取っていると、

光に透けて揺れる薄茶色の髪が

アタシの左首元に向かって距離を縮めてきた。


一瞬合った右崎の瞳と

その伏し目がちな二重瞼から醸し出す色気に

ドクンと心臓が鳴り、

蛇に睨まれた蛙のように体が硬直する。



いつの間にか壁についていない方の手が

後頭部から回っており、

その手がアタシの髪をそっと右側に流す。

左首筋が晒される。



「何簡単についてこうとしてんの?

ハナは俺のでしょ?」



そう囁かれた直後、

左耳の裏、うなじ付近に

柔らかい唇の感触が落ちる。







首筋から左後頭部にかけて

猛烈な甘い痺れが走った。