「ねえ、ハナ……」




人よりちょっとだけ高めの低音。

少し掠れた右崎の声。



首筋辺りから

ひと梳くいしたアタシの髪が

彼の指から滑らかに流れ落ちて

肩甲骨の下辺りまで落ちる。




チラリ

アタシを見やって、

残った毛束に視線を戻す。

細くて長い綺麗な指先が

そっと弄ぶ。






「な、に……」





その一連の動作に

アタシを含む、周辺の女子生徒達が

一斉に唾を飲む音がした。



















「髪ん中、尺取り虫が紛れてるよ。」









パサッ

弄んでいた髪から指を切り離し

片目を歪めて

それはそれは呆気なく

アタシから一歩距離をとりやがった。