靴を履き終えた右崎が

ドアノブに左手を掛け、アタシを見据える。



「なに……」



玄関先まで小走りしたアタシに向かって

すっ、と右の掌を差し出すものだから

思わずアタシも右手を差し出した。




!!!




握るか握らないかの

絶妙に曖昧な官能的仕草で指を絡み取られ

息が止まる。



腰をかがめ、

その身長に不釣り合いな小さな顔を

アタシの耳元まで寄せて

小さな言葉を零した。









「敵を欺くには先ず味方から、ってね

ちゃんとやれよ?」








名残惜しそうに指が離されて、
赤面。






ーーバタン。





乾いた音が部屋に響き渡った。