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ピーンポーンーー…



眠い。

今日は誰もいません。

ということで、居留守を使うことにした。




ピーンポーンーー…




いないったら、いないんだよ。

休日くらいゆっくり寝かせて……



イライラしながらも

二度寝続行。







Pi Pi Pi Pi Piーー



「あ、俺だけど」

カーテンの隙間から差し込む光が眩しくて眉を顰める。

手元に握るピンクゴールドのプラスチック素材で出来たそれからは

小さく男の声がした。



携帯のアラーム機能と勘違いをしたが

どうやら電話だったらしい。



情けないことに

動揺で心臓が物凄い速さで血を送り出す音が聞こえるのだが

悔しいのでそれを隠すように通話口から少しだけ距離を置いて話し掛けた。




「オレオレ詐欺はお断りです」

「右崎と申しますが」

「……わかってますけど」



だって

画面に名前が出てるもの。




まさか

こんな不意に、

しかも

昨日の今日で電話がかかってくるとは誰が予想しようか。



「ねえなんか、声遠いんだけど」



だって

離してるもの。


とは言うわけにもいかず

仕方なく返事を返す。




「……何さ?」

「今、暇?」

「今日は夕方から風香が来るんですけど」

「今から、あんたん家に行く」

「はぁ?何言って……」




ツーツーツー




それは勝手極まりない
一方的な電話だった。



大方、これからのことでも話し合うのだろうけれども……



第一、あいつはアタシの家を知っているのだろうか。