「そっちこそ、日直な上にさっきまで告られてたんでしょ?

大変だね、さすが右の人」


クスクスと笑いながら

自分の席に引っ掛けていた鞄を取り

右崎 柊の席の一つ前の席に腰掛け

若干の嫌みを込めて言葉を返してやった。


それを見た右崎 柊も

自分の席に着席し


「…は?右の人?」


怪訝な顔つきで覗き込んできたかと思いきや


「その呼び方は初めてされたわ」


フッ、と笑いを浮かべ

背もたれへと体重を乗せる。


さっきから時折見せるこの微笑が

妙に色っぽくてゾクッとする。





「サユーの2人の右の人。

間違ってはいないでしょ?」



「――ふーん」



どうでもいいと言わんばかりに

日誌を書き始めた。



気まぐれな奴。



カリカリカリカリ―……


静かな教室内にシャーペンを走らせる音がこだまする。

綺麗な二重を気怠く伏し目がちにさせて

頬杖をつきながら

細くて長い指先で筆を走らせる。

意外にも長いまつ毛がサラッとした頬に影を映している。



窓辺に頬杖をつき

そんな右崎 柊を暫く眺めていた。




どんな動きでも様になるなんて

何て嫌味な奴だ――


心の中で、ボソッと呟いた。