右崎 柊のクィッと指す顎の先、

窓の外へ視線を辿ると

さっきまでアタシと男子生徒Bのいた体育倉庫と部室棟の間にある狭い路地が見えた。



……げっ



つまり、

アタシの告白現場である。


つまり、つまりはだ。

目撃されていたのはアタシの方だった……と。


見られていたという事実に

アタシは小さく、顔を歪めた。



「いつから見てた?」



窓際へ歩み寄り

さっきまでいたその場所を覗き込む。




「多分、最初から?

……見てたっつーか、見えてた」



机に腰を掛けたまま後ろへ振り返り

指を差す。



「今日、日直なんだよ」



指差された場所は

窓際の前から3つ目の席。

――つまり、彼の席。


その机の上には

無造作に開かれた学級日誌。




「男の方、ずっと固まってるもんだからさ

何かもう、おかしくって……

あんたも大変だね。

こんな時間まで帰れないなんて」


口元に手を当てて

クスクスと笑う仕草。


クールで女子とは一切口をきかないイメージだった彼が

淡々と

それでいて割と饒舌に話し掛けてくるものだから

何だか拍子抜けして

さっきまでの緊張が解れてきた。



と同時に

三十分近く固まっていた男子生徒Bと告白されるのを待たされていた自分の姿を思い出して



「フフッ」



思わず、一緒に笑みを零してしまった。