右崎の『右』を取って

『ミギ君』

飛騨 利人を『ヒダリヒト』に置き換えてそこから

『ヒダリ君』


このイケメン二人組には

『サユー(左右)の二人』

という通り名があり

この学校内で知らない者は

おそらくいない。


明るく元気で爽やかなヒダリ君とクールで落ち着いているミギ君は

対照的な性格でありながら

昼休みこそ一緒にはいないようだが

その他の休み時間、登校時は

常に行動を共にしており、仲が良い。


表裏一体

はたまた太陽と月とでも言おうか

そんな関係であることもまた要因となり

校内には数多のファンが生息し

彼等はちょっとしたアイドル的存在として崇められている。


アタシは、学園のアイドル的存在に対して黄色い声を上げて騒げるような乙女チックな性格ではないが

それでも

サユーの二人が廊下を歩いていれば目を惹かれる。

(現に、さっきも笑顔全開のヒダリ君に目を奪われている)

そんなオーラを放つ2人である――…





―――……






季節は春

時間は昼下がり

葉桜になった桜の木の木漏れ日が降り注ぐ窓際の席で

気怠そうにうつ伏せている男子生徒

――右崎 柊を横目で眺めて、さっきの言葉を再生する。


ーーハナちゃんは、

女版、柊だねーー