「はよー。はるー。」

「おはよー。沙奈。」

今日から過ごす新しい教室。
窓の外で桜の花びらがひらひら舞っている。
カシャッ――
私は、写真を撮るのが好き。
いいなって思ったら、すぐ撮ってる。

私の名前は、城田沙奈。中1になったばかり。
住んでる所は田舎で、クラスも1クラスしかなく
保育所から中学までは、みんな、一緒。

はる。井原晴海。私の親友。
とてもかわいくて、学校では、モテモテ。
いいねっ。美人でーー。
ちなみに、はるとは先が前後ろのとなり。
近くて、よかったー。

「ねー。沙奈。彼氏とはどう?」
「えー。別になんもないかなー。」
「デートでも行きなよー。」
「うーーん。頑張る。」

私には彼氏がいる。
前藤光太。同い年で
もちろん、同じクラス。
顔はカッコイイってわけではない。
でも、運動神経よくて・・・。
すごくかっこ良かったんだよね。
6年生の時、私が告白して、付き合うことになった。
まだ、デートにも行けてないけど。

キーンコーンカーンコーン――…‥

私は、小学校の時から男子ともよく話す方だったから
男子とも、結構話すし、仲もいい。

「さっ。城田っ。」
「翔?ん?なに?」
「次なんだっけー?」
「えっとねー。数学っ。」
「OKっー。さんきゅ。」
「いえいえー。」

翔も、よく話す男子の一人。
でも男子と話すとき、変わったことが一つ。
男子みんな、私の事を「沙奈ちゃん」ではなく
「城田」と呼ぶようになったこと。
中学生になったとたん変わったから
呼ばれるこっちもびっくりした。

「ね。沙奈知ってる?」
「ん?なにを?」
「下山くん、3年の原さんと付き合ってるんだって。」

原さんって確かあのすごく美人な先輩だよね。

「へぇ。そーなんだ。なんかすごいね。」
「ねー。」

下山颯。1年のなかでは1番イケメンの男子。
先輩とか・・・。やるなぁ。颯も。

数学が終わり、やっとお昼の時間だ。
お腹空いたーー。

「沙奈っ。お昼一緒に食べねー?」
「光くん。いいよー。」

中1になってから、お昼はだいたい二人で食べるんだ。
時々、はるも混ざるけど。
場所はいつも屋上。雨の時は空き教室とかで食べる。
毎日お昼の時間が一番楽しい。

「沙奈ー。」
「んー?」
「きょ。今日さぁ。一緒に帰る?」

えっ。もしかして、初放課後デート?!

「いいの?」
「いいっに決まってるじゃん。」
「うんっ。」

わーーー。うれしすぎるんですけど。

「約束、なっ。」
「はぁーい。」

キーンコーンカーンコーン・・――

「あっ予鈴だー。」
「そーだねー。」
「次なんだっけー?」
「うーんと。理科。」

まだ話してたいなー・・・。

「沙奈・・。さぼるっ?」
「うんっっ♪」
「初めてだなー。さぼるの。」
「そだね。初さぼりっっ。」

キーンコーンカーンコーン

あっ。授業始まったみたい。
あーー。今私、彼氏とさぼってるんだー。
なんか、お昼のときより緊張する・・・。