「あ、蒼さん!」
俺の姿を視界にとらえた下っ端の目がランランと輝いている。
「和矢、もう諦めろ」
下っ端たちに手をヒラヒラと振ると、がばっとすごい勢いで頭を下げられる。
そしてずんずんとこの場を去って行った。
「……俺、帰るな」
「え?悪かったって?許すかクソが」
明らかに顔を歪めている和矢に向かって笑うと、さらに歪められる顔。
そして和矢の後ろに回り込み、屋上の中へと向けて思いっきり蹴り倒した。
「うおっ!?」
思った通りに屋上へとダイビングしそうになりながらも、和矢はなんとか着地。
そこはコケるべきなのに、偽王子が。
そしてその偽王子はがばっと俺を振り返って「ケガしたらどうしてくれんの!?」と、怒鳴って来た。
「ケガの心配じゃなくて、総長さんの機嫌取りの心配しろよお前。それに族入ってんのに受け身ぐらい取れなくてどーすんの」
鼻で笑うと、あからさまに焦りが和矢の表情に見えてきた。
「煌、和矢…やっと来たぜ?」
さぁ、これからどうなるんだろうか。
俺はただ和矢が泣くことに期待するだけだ。
蒼side*END


