あたしこそが最愛最高の姫である








「……美玲、そんなに潰したいなら俺がさっさと潰すぞ?」





ゲーム片手に何でもないようなことを言ってのける紫苑。







うん、彼にとっては多分何でもなさすぎるほどのことだと思う。






蓮たちに本当の意味で協力を求めれば簡単にあんな女なんか潰せれる。






でもそれじゃ_____意味がない。








本当の意味であたしが姫になるには。





自分の力量で彼女をぶっ潰すしかない。








まぁどっちみち彼女は潰される運命だ。










「……分かった。もう騎王との接触は諦めて他の方法探す…」







頭の片隅で和矢君に放課後の予定断っとかなきゃなー、と考える。







……せめて和矢君じゃなくてトップと話せてたら今頃騎王はあたしの手の中だったのかもしれないのに。








……上手く行かないものだな。








そしてあたしの言葉に気を良くした蓮は上機嫌であたしに手を伸ばす。






ちょっと待って、何て言いながらあたしは急いで靴を脱いで蓮の腕へと飛び込んだ。








そのままギュッと抱きしめられる。








「……今まで勝手なことしてごめんなさい」








そうポツリと謝れば。







「これから会わないのならもういい」








頭をそっとなでられながら言われた。







そして蓮はあたしをお姫様抱っこして、あたしの家のリビングに勝手に運ぶ。







「あ、ねぇ!?また勝手にあたしの家の合鍵作ったの?」








少し怒ったように後ろからついて来る3人に聞けば。






一気に蓮に視線が集まる。





……やっぱりこいつが犯人か。







「ちょっと、蓮。不法侵入」







ちょっとムッとして蓮に顔を近づけてそう言えば、蓮はクツリと余裕気な笑みを浮かべて笑うだけ。







「美玲、俺が出迎えてくれて嬉しかったんだろ?」







………………。









そうだけども。








蓮の姿見て怒ってたけどちょっと嬉しいなんて思ってたけど。









「…これで合鍵作るの何個目?」







「……20は絶対作ってるな。あとは分かんねーけど」







「それさ、もう犯罪の域越してるよ」







そして目的地のリビングでは余裕気に微笑んでいる、あたしの兄がいた。








蓮に降ろしてもらって玲の元へ近づく。








「ねー!玲っ!勝手に蓮に合鍵作らせないでよ!?」






「仕方ないんだよ。鍵作らせないと蓮、生徒会の仕事放棄しだすし」







……あたしの事は無視ですか。






いちいち蓮が合鍵を作るたびそれをどこかに落としてるのか無くしてるのか知らないけど、鍵を変えてるあたしの苦労は無視ですか。








「あたしの苦労知ってるでしょ!?鍵屋さんに頼むとき、またか、みたいにため息つかれるあたしのやり切れなさ分かる!?」







そう叫んだあたしに反応したのはまさかの蓮で。









「あ?その鍵屋どこだ?ぶっ潰す」







なんとも物騒なことを言い出す。








「いや、蓮がなくすのが行けないんじゃん」










「鍵が勝手になくなるんだよ。マジで俺なくしてねーし」







……なんかもう、泣きそう。






「れーいーーーーっ」





そう言いながら玲の胸へと飛び込む。







「もう蓮に鍵渡さないでよっ」







玲はクスクスと笑いながらもあたしを抱き留めてくれて、そのまま玲の膝に座らせてくれる。







蓮が唯一あたしが触れても怒らない男。







実の兄、玲ただ一人のみ。






生徒会メンバーですら怒るけど、玲だけは抱きしめられても何しても何されても何も言わない。








まぁ実の兄に触るな、と言われればさすがにあたしも怒る。