あたしこそが最愛最高の姫である





それでも家の前までついてしまい、扉を開けようとすると鍵をかけて家を出たはずなのに開いてしまう。





……やっぱり、いるんだな。







覚悟を決めて家へと入った。








「……ただいまぁ…。」








心なしか小さな声になってしまう。





……なんであたしがこんなに態度小さくしないといけないんだろう。







……あれじゃん、蓮たちが悪いのに。







 
すると中からどたどたといくつかの足音が。







そして現れたのは…。







ヘラリとほほ笑んでいる直と、もう鬼よりも怖いお顔をした蓮。




ゲーム片手にあたしを見る紫苑と、これまたゲーム片手にゲームに夢中の悠斗。







十人十色とはまさにこのこと、個性が豊かだな、と場違いなことを考える。








「……お前、逃げただろ?」







蓮の低い声が玄関に響く。




そして空気を読まなさすぎる場違いなゲームの音。






……音、消せよ。




雰囲気読まなさ過ぎて更に雰囲気が悪くなってるわ!







なんて思いながら紫苑と悠斗を見るけど無視。





悠斗はゲーム機に視線を落としたままだからまだ分からないこともないけど、紫苑なんてあたしと目が普通に会ってるんですけど。







「……だって、もし会ったらあたしの計画全部話すでしょ?」








「「「当たり前だろ」」」







ここだけは直以外、仲良く声を揃える3人。








……悠斗は未だ視線をゲーム機に向けていることが腹立たしい。












「だって、協力してくれるって言ったじゃん」









「ただ男と話してるだけだろ。何か収穫でもあるわけじゃなしに」








……痛いところを突かれる。











「こ、これからだから!」







そう反抗すると蓮に素晴らしいほどの目力で睨まれる。









「もう駄目だ」







……そんなぁ。








蓮たちを困らせて…怒らせてまですることじゃないのかもしれないけど。






姫はあたしだけでいい。







「……美玲の気持ちも分からない事じゃないよ?でもさ、その子を叩き潰す前に美玲が蓮に叩き潰されちゃうよ?もう監禁されてその麗しい容姿を他人に見せられなくなるよ?」








……ぐっ。








直のこの言葉に言葉を詰まらせる。







確かに、このまま蓮が本気でキレたら監禁なんて容易にされちゃう。







そうなればあの子がただ一人の姫になるじゃん!







それだけは無理。