あたしこそが最愛最高の姫である






今までほんの数回、彼女を遠目から見ることはあったけど…、こんな近くで見たのは初めてだった。






素晴らしいほどに整っている顔、全身から放たれている色気を含んだ華やかなオーラ。





その姿は“姫”というよりも王者にふさわしく“女王”と呼ぶべきではないかと本気で思った。





そして俺が彼女にボーっと見惚れていると…。







「あの…ここ、勝手に使っちゃって良かったですか?」






少し困ったような笑みを浮かべて彼女がそう問いかけてきた。






彼女の声を聴いた途端、俺の胸が大きくなった。







ドクン





ドクン





と、何か強い衝撃を受けたような気がした。







その問いに俺はなんて答えたかは覚えていない。





でもそのあと、直ぐにここから去ろうとする彼女をなんとか引き留め色々話をしたのを覚えている。






いや、忘れることが出来ない。






彼女の笑顔も、笑い声も、ふと見せる妖艶な表情も。




彼女を笑わせようと必死になっていたことも思い出した。




あの時から自分は彼女から抜け出せないでいる。







彼女が気持ちいい、といったこの屋上のこの場所も。




彼女が好きだと言っていた、俺の嫌いな甘い飲み物も。