バタン、と扉が閉められた音を聞くとはぁーとため息をつく。
すんごいめんどくさかった。
すんごい腹立った。
あのくそ女にも、悪いけど紫苑とか悠斗とか直にも。
もう一度ため息をつき、そして作っている笑みをほぐすように顔を手で覆おうとすると…。
「…………み、れい」
まだ寝続けているはずの蓮のくぐもった声が聞こえた。
少しびっくり。
……寝言?
蓮は動いていないので寝言かと一瞬思ったが、もぞもぞと動き出したのでどうやら起きたらしい。
「……あれ、蓮?起きたの?」
そう問いかけると返事は帰ってこないが、むっくりとあたしの上から起き上がる。
そして直ぐ隣に座り直し、まだボーっとしているけど周りを見渡す。
一瞬直をじっと見て、その次にあたしを見る。
蓮はまだ頭が動いていないのかあたしの顔を見てボーっとしたまま固まってしまった。
「……蓮?まだ眠い?」
軽くクスクス笑いながら蓮に聞くと、蓮は明らかに顔をしかめた。
「……れーん?どした?」
一瞬、あの女がここにいたことに気づいたのかと思った。
でもそれはどうやら違うらしい。


