あたしこそが最愛最高の姫である






「前さ、直が何かを調べてたでしょ?」






あたしの顔色を窺うように上目づかいであたしを見ながら話しの脈絡とは関係のなさそうなことを言い出す悠斗。






「……そうね?校舎の中を忙しく回ってたわよね」






だから、と言いたいところをぐっと耐える。






「調べてたの…この女のことと暴走族のこと。暴走族が誰かを探してるってすごい噂になって、一部で色々混乱が起こってたから色々直が調べてたの。で、出てきたことがつい最近転校してきた“石原実桜”を暴走族がこの学園に転校してきたことを知って全力を上げて探していたってこと。」








……よく分からない説明なんだけど。







「まぁ簡単に言えば…。暴走族がわざわざ探して大事に姫として囲ってんのに、生徒会をわざわざ探ってるなんて何かあるだろ?最近それで目をつけてたのに生徒会の前にいて、しかも直ぐに逃げようとするから捕まえただけなんだよ…」









「…要は逃げようとしたから捕まえたってことか」






長い悠斗の説明を一言でまとめたあたしに悠斗は一生懸命コクコクとうなずく。





ふうん、と思って更に悠斗に問いかけようとしたとき。






「あたしのこと調べてたの!?」





また彼女が怒鳴り散らし始めた。




………はぁ。




心の中でため息を付く。






「紫苑、悠斗?さっさと彼女、外に出してくれる?それで外で色々話しして?」





何も言わせないようにニッコリと笑ってなるべく穏やかにそう言った。





紫苑は硬直状態からやっと回復して慌てて彼女の手を掴みなおした。





そして「さっさと来い!」と、勢いよく彼女の手を引き悠斗と外に出た。