あたしこそが最愛最高の姫である









「玲くん、あたし欲しくないって言ってる」






クスリとだけ笑った美玲は髪をかきあげた。





中学校の時よりも遥かに伸びた髪を鬱陶しく感じているらしい。







美玲は中学時代俺のことを玲"くん"と呼んでいた。






今ではもう聞きなれなくなっていた呼び名に眉をひそめそうになった。








「玲クンじゃなくて、お兄ちゃんって呼べよ」







美玲から視線を外して箸を手に持つ。






「………あたし、玲くんがお兄ちゃんなんてや「ほら食べろ」」







美玲の言葉を無理矢理遮ってサラダを美玲の口元に運んだ。







美玲が何を言いたいのかは、分かってる。






顔を隠すことなく歪めて、何も映ってない瞳を潤ませている。





きっと、俺すら見れていないんではないだろうか。





やるせない気持ちを心の内に押しとどめる。





ここでため息を吐いたりなんてしたら、美玲はパニックを起こしてしまう。




日が経つごとに精神が不安定になっている美玲。





これ以上パニックを起こすようなら精神安定剤を飲むことを考えたほうがいい、と医師からはすでに忠告をだされている。







「食べねぇと点滴だぞ。痛いぞ?」





でも俺にできることは、美玲の精神が壊れていくのを横で見ながら、ただ食事を取らせることしか出来ない。





無力感を感じながら美玲を見ている俺に、本人は気づいているのだろうか。






グッと唇をかみしめた美玲は、諦めたように顔を伏せた。






こいつが犯した昔の過ちは、また繰り返されようとしている。






『玲くん……あ、あたし、玲くんのこと………お兄ちゃんになんて思えない』







あれは、もう何年前のことだったか。







膝からお盆が落ちないようにバランスを取って、箸を持ってない手でそっと美玲の顎を掴んだ。







グイッと上にあげるとはらりと美玲の瞳から涙が零れる。







それに気づかないふりをして、美玲の唇をこじ開けて食事を食べさせた。








ずっと、美鈴は何も食べていない。








ただ水を飲んで、こうやって無理矢理俺が食べさせないと何も自分から口にしない。