あたしこそが最愛最高の姫である










起きた時には傍には誰もいなかった。








「……玲?」









玲の名前を呼んでも返事は返ってこない。









何でいないの…。








静かすぎる無機質な病室を心細く感じてゆっくりと起き上がった。











するとがらりと開く病室の扉。











玲かと思って期待を込めて視線を直ぐに映したが……。












「…………どなた」












やっぱり、知らない男がそこにいた。












「お前…記憶なくしたんだってな」











あたしの言葉を無視した男はゆるく口角をあげながらベッド近くまでやってきた。













「らしいね」










さっきの男たちとは別のまたこれまた整った容姿の男。












「俺は煌だ。和矢ってやつから伝言頼まれて、それ伝えに来ただけ」









こう、ね。






どこか無機質な表情をしている男だ。











「へぇ」









そもそも和矢って誰だろう。








でもわざわざ聞くほどのモノでもなく適当に相槌を打っておいた。












「元気に学校に来てねだってさ?」










クツクツと喉の奥で笑っている男の目は、笑っていない。












諦めのわりぃ馬鹿。ただそう呟いて、鋭い視線をあたしに向けた。












「俺は、お前が和矢のことを一生思いだねぇ方があいつは幸せだと思う」











「ならあたしの記憶の操作でも何でも頑張っとけば」











少し、この男は面白い。










敵意があるわけでもない、嫌なものを見る目でもない。










その和矢ってことを思っているのか鋭いけどどこか優しい目だ。











「間違っても俺に惚れるなよ?」











今度こそ瞳で笑った男。











だが浮かべているのは微笑みなんてモノではなく、不敵でイラッとするあたしが嫌いな笑みだ。














「大丈夫、あたし好きな人いるもん」












記憶にない長い髪をそっと耳にかけ、眉をあげた男に笑いかけた。