あたしこそが最愛最高の姫である










「き、おくそうしつ……?」





ひゅっと掠れた声が出た。






「しかも抜けている記憶がここ数日のものやある一定のものでもなく、数年分です。原因は頭を打ったショックだと考えられますが……何か心理的原因があるのかもしれません」












また詳しい検査を後ほど致しましょう、と医者はその言葉を最後に部屋を出た。









ただあたしは唖然とするばかり。











「……記憶喪失って漫画みたい」





先ほどまで激しく動いていた心臓はもうなんだか落ち着いていた。





多分、玲に感じた違和感の正体が分かったからだ。





手を目の前に掲げてグーパーと開いてみた。





なにも、変わらない手。





少しだけ指が長くなっているような気がしなくもないけれど……。









あたしが高校生だなんてもちろん信じられない。





昨日のことだって頭にただぼんやりと白いモヤがかかったようで、何も思い出せない。




けれど中学校に退屈ながら通っていた気がする。





本当にあたしは高校生……?





玲に視線を向けると、やっぱりあたしが知っている玲より老けているように感じれた。






でもまだ上手く状況を理解しきれていないが玲が近くにいるだけでスッと頭が整理されていくようだった。






玲は、玲だ。




少しだけ見た目が記憶にあるものよりおとなしくなっているだけで。






老けたねって言ったら馬鹿って返されて思わず笑ってしまった。







玲も複雑そうな顔をしながらもクスクスと笑っている。






その笑みを見て思った。






記憶をなくしても困ることなんてない。だから別に何でもいいと思う。







玲が傍に居てくれるだけで……あたしは幸せなんだ。










大好きで、大好きで、切ないほど好きなあたしの玲。







記憶なんて、なくても玲が笑ってくれるならそれで………………。