あたしこそが最愛最高の姫である









運よくB組と書かれたプレートが目に入ったので、そこのドアをがらりと開ける。








すると確かにあたしが入るまでガヤガヤしていたクラスは、しーんと静かになった。









特にそれや自分に突き刺さる視線を気にせず、颯爽と黒板に貼られている座席表を見る為に教壇に上がる。








あたしの席は……。









廊下側から二列目の一番後ろの席だった。








そしてその席まで行って、荷物をガタッと投げ捨てるように床に置く。









そしてイラつきを隠さず乱暴に椅子に座った。








……あぁ、もう。








あの男と良い、周りの反応と良い。








何もかもが腹が立つ。









玲のところに行こうかな、と一瞬考えたものの、さっき玲に怒られたことを思いだして行くのはやめた。











「………」










誰もしゃべらずシーンとしている教室。









あいにく、今は笑顔を周りにまき散らす余裕なんてない。








机を蹴り飛ばしたい衝動を抑えているので精いっぱいだ。








グッと目をつぶる。











…………やっぱり学校なんてくだらない。










もうサボろうかな……なんて思いながら、そっと机に伏せた。












でもそんな静かな教室に響く扉の開く音。









タイミングの悪さ。









……もう本当にサボろう。









そう思って机から顔を上げたとき…。













「……そこ、俺の席なんだけど」












静かな空間に、凛とした声が響いた。









その声の方に自然と顔を向けると、そこにはダルそうに入り口に突っ立っている男がいた。










その顔はきりっと整っていて、冷たい顔立ちだ。









"冷酷"







無表情でまさに冷酷という言葉が似合うような男。









でも制服は派手に着崩されていて、髪は金色に近い茶色だ。









男の顔をじっと見ていると、無表情だった男のまゆが少し上がった。








「そこ、どいてくれる?」









でもその男の視線の先にいるのは____あたしではない。








あたしの右隣の席、つまり一番廊下側の席に座っている、見た目貧弱そうな男に向かって言っている。










獣をかるような視線で射抜かれている男は、硬直したまま「え、あの、その」と激しく戸惑っていた。











「どいてって言ってんだけど。あー。じゃ、言い方変える。俺の席と変わって」









「も、もちろんですうううっ!」









そして男はガッシャーン、と派手に椅子を倒しながら荷物を両手に抱え廊下に一直線に走り出ていた。









………何だ、このチャラ男。








もうそのままいかついヤンキーではないか。










先ほどよりも重たい沈黙が教室に流れている。









そんな中、男は全く気にせずに倒れていた椅子を元に戻した。










そこにドカッと座った男は「はぁ」とため息をつきながら廊下をただガン見していた。











………本当、何だこいつ。








絶対さっきあの貧弱男に席を無理矢理変わらせたよね。









生意気な奴だな。









「………うざ」










思わず男に視線を向けたままポツリと呟くと、勢いよく振り向かれた。











「あぁ゛!?」











もうただのヤクザだ。










こんなやつが隣の席とか最悪。









さらに学校に来ることが憂鬱になった。









男を見ると、男はただあたしをぽけーっと見つめている。







今さっきの迫力はどうした。








「あたし、ヤンキーってキモイと思う。でもあくまであたしの意見だから本気にしないでね?」









そう男に向かって言い放ち、席を立った。








もう帰ろう。










間抜け面を晒している男に向かってにっこり微笑み、教室を出た。