和矢side*





「実桜。まだ納得してなかったのか?」








今日から夏休み。






がんがんにクーラーの効いた倉庫の幹部室にいるのは俺ら幹部と、姫をやめた実桜ちゃん。







いつかの日、俺が寝てしまっているうちに色々あったらしくて。








詳しくはいまだ教えてくれないけど、実桜ちゃんが裏で男と遊んだり派手なことをしているということは分かった。








たまたま蒼が実桜ちゃんが男と居るところを目撃して、調べたら出てきたらしい。







でもその事実を知る前から煌は彼女を騎王と何も接点をなくすように動いていたから、特に彼女が辞めることに幹部からは異論はなかった。








でも下っ端は違った。









最初は彼女を姫にとどめておくように説得してきたけど、彼女の裏の事実を話すとショックを受けて黙った。







……本当にメンバーには悪いことをした。







メンバーにとって彼女が光であるまま彼女には抜けてもらうはずだったんだけど…。








もともと複雑な事情を抱えたメンバーが多いので、彼らに深い傷を作ってしまった。






俺でもしばらくは女を信じられそうにないのに、実桜ちゃんを慕っていたメンバーからするともっとつらいだろうに。








目の前でぶすっと黙り込んでいる彼女にため息を吐きそうになった。









俺は自分が周りから守られていることを知らぬまま、他人のことをただ思っていた。









自分が甘いということを知らぬままに。