「………クシュッ」
玲の無神経すぎる発言に少しイラついていると、くしゃみが出てしまった。
やっぱりちょっとクーラーの設定温度低すぎかな?
18度って。
「美玲風邪ひいてんの?」
「ひいてない。でもまぁ、玲。終業式はあたしに任せて。なんとかして完璧にして見せる」
「……風邪は?」
「いや、だからひいてないって」
「よし、今すぐに病院行くぞ」
「大変じゃねぇか。玲さん、車飛ばしてください」
「人の話聞け、そして脳みそで理解しろ」
「おー。ま、いざとなったら俺が仕事サボって家でつきっきりで看病するし」
「さすが玲さん」
「だから風邪引いてないし、玲は仕事してよ。いつも学校ではあたしに冷たくするくせに」
あたしの意見なんて無視で、勝手に被害妄想を繰り広げる玲と紫苑に本気で腹を立てた。
「本当に人の話聞けって」
もうこうなったら、どれだけ反対されても、何があっても蓮の代わりに修業式出てやる。
別にこれくらい余裕だしね。
あたしは決心して玲から原稿を奪い取った。
もうこうなれば意地だ。
この麗しき美貌を全生徒にさらけ出してやる。
元からくそ女のことで気分も良く、あたしは高らかに笑った。
二人からの嫌な視線なんて痛くもかゆくもない。
「………くしゅっ」
でも、まず風邪薬を飲んでおこう。