にっこりと、誰もが見惚れてしまうような笑みを浮かべて……。
予想外の言葉を姫は口にした。
「………は?」
もちろん実桜から声が漏れる。
でもその声は……とても低い。
「ね、総長さん。その女、裏があると思わない?」
「………なに言ってるの。もう帰ってよ!」
「総長さんに良いこと教えてあげる。その女ねぇ、留年してるの。本当はあたしの一個上」
………留年?
「ヤダ!もう帰れって!!何で知ってんの!?」
「その女、妊娠してたの。で、学校休んで産もうとしてたけど結局流産。それで前の学校にはいられなくなって、この高校に引っ越してきた。親がどっかの偉い社長さんで、お金積んで留年の事隠して。で、何事もなかったかのように学校生活を過ごそうとした。あ、父親は不明。その女、色んな男と遊びすぎて誰が父親か分かんないの。で、快楽依存でまだ遊びは続いてるし」
美桜は頭を抱えたまま動かなかった。
でしょ?と姫が薄い笑みを浮かべながら頭を抱えた実桜を見る。
「まぁ前の学校でちやほやされてたからここでもそうされるって思ったんでしょ?でも残念。この学校にはあたしがいた。あたしが姫としてちやほやされていた。それが許せないから……暴走族に取り入って姫になった。偶然にも総長があんたに目を付けて、計画は思い通り。でも、またあたしの存在が邪魔だった。多くの人があたしとあなたを比べて、あたしの方が良いじゃんってなって。それが気に入らなくて色々あたしを襲わせようとか、してきたみたいだけど……。生徒会の守りで全部不発。それに加え、暴走族もあたしと近づいて。さぞかし悔しかった事でしょーね?」
実桜が、妊娠。
実桜が、姫を襲わさせる。
信じられないようなことを次々と生徒会の姫は語っていた。
「あ。あと、あんた…。蓮の事絶対知ってたでしょ?少し前、それなりに遊んでたって。あわよくばあたしを落として、蓮を手に入れようとか考えてたんじゃないのー?」
_________「やめてくれる?」
口元はあげたままで、笑顔は崩れてもいないけど……この姫の言葉は、思わず鳥肌が立つほど重い言葉だった。
敵に回すな、本能がただの一人の少女にそう告げた。
「……ま、あたしが総長に伝えたかったことはここまで。ちゃんと情報は正しいよ?全部裏もとったし、この女と一番仲のよろしいセフレくんにも無理矢理知ってる事を全部吐かせたし。それでも疑うならちゃんと調べてね?簡単に出てくるから」
あぁ______。
この女、恐ろしい。
まるで王者。
__________女王という言葉がぴったりだ。
その女王の隣で不機嫌そうに突っ立っている男が王で。
後ろの三人がナイト。
族の長をして、散々薄汚い世界を見てきたはずなのに_______。
こいつらには勝てない。
ただの一般人であるはずの生徒会に……この時俺は何かが負けた、そう思った。


