すると今度は真剣な顔をした時雨が実桜に問う。
すると実桜は生徒会の姫から時雨に視線を移し、軽く首を振った。
「ち、ちがうの!」
「ねぇ、何が違うの?総長さんより蓮の方が良かった?」
すると実桜に、姫が言葉を返した。
「あ、あなたは黙ってよ!そもそも何!?勝手に屋上に入ってきて!」
「関係者以外立ち入り禁止の生徒会に二度も入って来た人、誰だっけ?それにそもそもココ、使用禁止だから。あなたたちだって使っちゃダメなのを使ってるのに、あんたにそれを咎める事……出来ないでしょ」
………確かにそうだ。
それよりも、いつも柔らかい雰囲気の実桜が、ここまで声を荒げるところを初めて見た。
そのことに驚いていると…、ずっと固まっていた玄武がやっと動いた。
「は、え、ちょ?何で……わざわざこんなとこに!?」
すると、生徒会側のチャライ男が口を出す。
「あ?部外者は黙っとけよ」
……何だ。
「はぁんっ!?何、俺に喧嘩売ってんの!?」
「はっ。お前……バカ?そうだよなぁー。見た目からしてバカ丸出しなぁ」
「ちょっと。紫苑黙ってよ。何で蓮も紫苑もさっきから雰囲気ぶち壊そうとするの。てか喧嘩売ったの紫苑だし、そもそも紫苑だってその髪型と制服、十分バカに見えてるから大丈夫。生徒会がそんな格好してるから暴走族だって誰も直さないんじゃん。だから玲が困って、あたしの相手する時間すくなくなるんじゃん。紫苑、サイテー」
「ぶっ。紫苑、どんまい!」
「で、話し戻るけど」
もう一度思った。
何だ、一体。
グチグチ言っていた生徒会のチャラいやつに姫が毒を吐いたかと思うと、女みたいな可愛い顔をした男が吹き出して。
チャラいやつの手が女顔に振り上げられたとき、あっさりと姫は話を戻した。
………もはや唖然。
今まで知らなかった生徒会の一面を、少し知れた気がした。
……理不尽なようで、理不尽じゃない姫。
よく分からない女だ。
そして______更にこの姫は俺を驚かす。
「あたし、一つ総長にお願いがあるの」