……この女も何考えてんだか。






いつもなら微笑ましいだけだが、こんな時は実桜にすらため息を吐きたくなる。







俺が見ていることに気づいていないのか、唇を噛みしめて和矢と玄武を見ている実桜。







本当何なんだかなぁ。







はっきり言って思ってた女とは少し違った。








見た目通りふわふわしてて、天然が混じった優しいやつなのかと思えば。







たまにギョっとするような顔をすることがある。







……たぶん生徒会の姫が嫌いなんだろうか。







和矢が生徒会の姫のもとへ放課後に行くたび、ふと生徒会の姫の噂を聞いたとき、思いっきり顔をしかめている。








実桜も裏表がある女なのか…疑いを強めている。







最初、実桜を見たときすんげぇ綺麗な涙流してると思った。






夜、倉庫からの帰りでゆっくりと帰っていたとき。







公園で空を見ながらひとり泣いているこいつを見つけた。







目を思わず見開いた。







言いようのない想いがこみ上げて来て。






……あぁ、まだ俺にもこんな感情残ってんだなって柄にもなく笑ってしまった。









でもその時抱いた思いを、実桜に再び抱くことはない。








でもそれなりに優しくは接してるし、気も使っている。








ちゃんと実桜を姫として扱ってる。








……でも俺が実桜に惚れてるとか思ってるやつらが多いし、幹部の奴らもそう思ってるが…。








本当は惚れても何でもない。







ただ、あの時感じた思いをもう一度だけ感じたいだけだ。







俺はまだ“あいつ”を忘れていない……。









愛?恋?







そんなもの_____クソくらえだ。








俺には仲間がいる、ただそれだけでいい。









でももう一度、もう一度だけ……。






誰かの綺麗な涙を見て見たい。






あいつに感じたような感激を、感じたい。














あいつに、逢いたい。