何に起こっているのかさっぱりだ。
「玲。あたし、無視する玲のことなんて嫌いになるよ」
イライラを隠さずに言ったところで、やっと反応が返ってきた。
「少しは謙虚になってみろ」
………?
けんきょ……。
「……謙虚?何それ?レベルなんだけど。あたしが謙虚になれると思ってんの?」
訳がわからない。
あたしの自分至上主義を玲はよく知ってるだろうに。
人に気を使ってなんかいたら、ノイローゼになりそう。
「もう少しか弱くなれってこと」
「は?充分魅力的なほどか弱い見た目してんじゃん」
「………中身はか弱いなんて言葉程遠いだろ」
「ギャップがあっていいでしょ。玲もどうする?あたしがいきなりビービー泣きだしたら」
「……美玲、そう言えば泣かないもんな」
「泣く暇があれば、泣かされる原因をぶっ潰す」
「…………女らしい性格目指そ?」
「あたしが女じゃなかったら、世界中が男になってるっつーの!」
「いや、そんな問題じゃなくて……!」
はぁーーー、と玲が大きくため息を吐く。
こっちがため息つきたいわ!
あたし、玲にさっき無視されたから怒ってるのに。
「……美玲、今日の学校の帰りのこと覚えてるか?」
「知らないうちに家で寝てたわよ」
「俺が車まで抱えて帰ったの」
……学校ではあまりベタベタしたがらない玲が。
意外だ。
素直に驚いてしまった。
「美玲、寝惚けて覚えてない?」
「そんなの知らないし」
「……俺さ、怒ってるんだけど」
「は?あたしの方が怒りたいもん」
「なんで美玲が怒るの」
「だって玲、無視なんかするからじゃん」
「美玲がどこそこ構わず我儘言ってくるからだろう」
「だから覚えてないって」
「……美玲」
はぁーっと玲に大きなため息を吐かれた。
………ありえない。
「もう玲なんて嫌い」
キッと玲を睨み上げる。
すると今更ながらオロオロしだした。
「い、いや。ちょっと待て、俺はただ学校で抱っこだのいろいろ言われると立場がないわけで、」
「もう嫌いだからいいよ」
「待って、待て!悪かった、俺が悪かった」
「さっき無視されたこと、あたし許さないし」
「……みーれーい。悪かったって!」
玲がバタバタとあたしの傍まで来た。
「もうさ、怒らないからさ?無視とかしないからさ?」
「みーれーいーっ」
「ホント悪かったって」
…………クスリ。
つい、笑みが漏れた。


