あたしこそが最愛最高の姫である







「美玲。美玲!みーれーいっ」






自分の名前を呼ばれている。






「んっ……」







ぼんやりとする意識の中、体を動かした。







「危ねっ!」







フワリ、と暖かさに包まれた気がした。








「おいおい、落ちるぞ!」








「……………抱っこ」








ゆらり、ゆらり。







意識が揺れる。








「抱っこじゃない。起きろ。車で帰るぞ」









「…………飛行機で帰る」








「……玲さん、俺が駐車場まで運びますよ」







「いや、蓮。大丈夫。こいつは自分で歩かせる」








「美玲。みーれーいっ!起きないとこのまま落とすぞ」








「……飛行機が落ちた」








「…………玲さん、こいつ運んだほうが早いですよ」









「……ったく。みーれーいーー。はい、ドーン」







ドス、という衝撃で目が覚める。







ぼんやりとする頭で分かるのは、おでこが痛いことだ。








「痛ぁい」








思わず目を開けると、どうやらうつ伏せで寝てたらしくて。







ゆっくりと起き上がった。







……おでこ、痛い。






そしてソファーに深く腰掛け直すと、目の前には蓮と玲。






「………どしたの、二人とも」







眠くて眠くて目をこする。






だんだんと意識がはっきりしてきて、あのまま寝てしまったということが分かった。






窓から差し込む光はオレンジ色で、もう夕方らしい。







……そんなオレンジ色に包まれている目の前の二人は、怒っているし呆れてる表情をしている。








「れい、どーしたの」 







「………自分の妹ながら、ほんと小悪魔越えてるよな」








玲が怒っている理由を考えようとするけど、まただんだん眠くなってくる。








「玲、蓮。抱っこ…」







「抱っこじゃない。ここ学校だろ?寝ぼけるのはやめろ」







「じゃ、蓮抱っこ」






蓮に向けて手を伸ばすが……その手をペシッと玲に叩かれる。







「家なら好きにしていいけど、ここ学校だろ?」







「いや。なら学校に泊まる」







そう言って、もう一度ソファーに寝転がろうとした時……。








「だーれに似て、こんな女王様になったのか」







スッと、両脇に手を差し込まれた。






そのまま、子供を抱き上げるみたいに抱っこされる。







「……結局玲さん、美玲に甘いですよね」







「…誰にも見られないことを祈るしかないな」








またフワリ、フワリ。






ゆらり、ゆらり。







とした感覚が押し寄せてきて、あたしはまた意識を手放していた。








「……ここまで手の掛かる妹、そうはいねぇーな」






「……ここまで自分大好きな女も、そうはいませんよね」






「……最近の美玲は女王様すら超えた、ただの悪魔だ」






「自分至上主義が口癖化してますしね」







「あれだな、自分が中心に地球がまわってなかったら地球を無理矢理回すような女だよな」







「……高校生でこれって……将来がもう何か見えてくる」







「「でも、そこが可愛いからなんとも言えない……」」







あたしが玲の腕の中で爆睡中、こんな会話がされているなんて夢にも思わない。