「あぁー。帰っちゃった…。」
そうため息とともに呟いて、蓮の元へと行った。
もう既にあたしの興味は玲ではなく資料に移ってしまった。
構ってくれないならもういいし。
なんて、心の中では兄にふてくされながらも蓮の手元に気が向いていて。
「れーんっ?どんな内容の原稿??」
そして蓮が持っている資料を覗き込んだ。
そこには何とも長いただの挨拶文が。
でもまぁ、いつもと同じような長さで期待するほどのものでもなかった。
「……めんどくせぇ。」
蓮も顔をしかめて文章とにらめっこしている。
そして直ぐにバサッと床に放り投げてしまった。
玲がせっかく作ったのに。
なんて玲の苦労を一瞬考えたけど、原稿を拾うなんてことはしない。
どうせ蓮が適当にぶっつけ本番で何か言うし。
いつも通りのことだし。


