「……ぇ?はな、し?」
総長はジーっとあたしを見つめる。
「…購買の店員、あいつ篠原が好きなんだろ?」
篠原とは、あたしと玲の名字。
「……それが?」
……何で知ってるんだろう。
何が言いたいか分からない総長をキッと睨み上げる。
すると総長は額に手を当て、盛大にため息を吐き出した。
「……どーしたの?」
あまりにも複雑そうな表情をしている総長に、思わず声を掛けてしまった。
……もし蓮にこの場面見られたら怒られるな。
でもまわりを見回すけど、授業中のため人は誰もいない。
「………和矢と玄武、あいつら立ち直れてねぇ。それに時雨も加わるとなると…」
ボソボソ、と何か呟いた総長。
「……なんて言った?」
「……何でもねぇよ」
よく分からない人だ。
「…あのさ、何で購買のおねーさんが玲のことを好きなの知ってるの?」
「さっきたまたま聞こえた」
……大声で騒いでたから、聞こえちゃったんだ。
でも購買のおねーさんと総長って何も関係がない気もする。
そんなことを考えていると、総長の視線が手元のペットボトルへと注がれた。
「お前、それ……」
「……これ?あたしの好きなミルクティーだけど?」
「…そーか」
更に複雑そうな顔をする総長。
「……時間取って悪かったな」
「…全然、大丈夫だけど……」
そう言えば、あたしこいつと話すの初めてだ。
総長は額に手を当てたまま、ゆっくりと歩き出した。
あたしは特に止める理由もなく、少しの疑問が渦まいたまま、去っていく背中を見つめ続けた。


