さて、リュティアとライトが旅の導きとしていたふたつの石板はどうなったのであろうか?

二つの石板は激しい戦いの中、紛失してしまった。かなりのちの世となるまで、それらは発見されることがなかった。

やがて遥かな時を経て人々がこれらを発見したとき、すべての文字が誰にでも読めるようになっていた。リュティアにのみ断片的に読み取れていた石板の文字の最後はこう締めくくられていたという。

“おお、悲しみよ
この張り裂ける胸よ
そは愛によって生み出されしもの
おお、愛よ
それこそが、光神と闇神の尊き息吹

人よ、動物よ、新しいカタチよ
共に在れ、我らのように…”


―――と。

これら石板の文字から、不思議なことに人々はリュティアの感じたことや体験したことをまざまざと読み取ることができた。

その長い物語はやがて、人々の間で語り継がれることとなる。




―――聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩として。