ある日のこと。この日は、イア城で大きなパーティーがある日で、朝からお城は、バタバタしていた。なので、パーティーが始まってもイア王子の話を聞いてくれる人は、誰もいなかった。つまらなくなったイア王子は、こっそりパーティーを抜け出して、木の洞窟にいった。
すると、そこには、先客がいた。ピンクのドレスを着た、金髪で長い髪の女の子。見た目からして、たぶんイア王子より、2つくらい年下だ。初めて見たから、どこかの地方から来たのかな？と、イアは思った。その女の子は、本を読んでいた。イアにじろじろ見られたのが、恥ずかしかったのか、女の子は本で顔を隠してしまった。イアは、なんで隠すのだろうと思い、女の子に思いきって、声をかけてみた。
[なんで隠すの？君、可愛いのに。もったいないよ。]
この言葉は、嘘ではなく、イアは女の子を見た時に、きれいな金髪の髪。ピンク色だけど、派手すぎないドレス。オレンジ色の目。女の子の全てを可愛いと、思ったのだ。相変わらず、女の子は顔を隠したままだったけど、しばらくして顔をあげると、とてもとても小さな声で、
[ありがとう。]
と、言った。そして、真っ赤になりながらも、一緒に遊ぼうと、誘ってくれた。
[うん！]
イア王子は、元気な声でいうと、女の子の手を取り、庭園を案内しながら、遊んだり、話したりした。ここで、わかったことが3つ。女の子の名前は、リリス.オテムーン.ギザ。リリスは、ナサハ王国の一番東にある、トリップ町のお城から来たこと。もう１つは、年はイアより２つ下の5歳だということ。こんなちょっとのことだったけど、イアはリリスのことが知れて良かったと思った。
時計台の鐘の音がなると、リリスは悲しげな顔して、
[もう行かないといけない。]
と、言い出した。イアは、なぜか胸が痛かったけど、がまんしてリリスに話しかけた。
[また、遊ぼうね。リリスが大きくなって僕のことを忘れても、僕はリリスのことを忘れないよ。約束する。]
イアはそういうとリリスに、イアのつけていた、淡いピンク色の宝石がついたブレスレットを渡した。リリスは、泣きそうな顔をしながらも、
[私も絶対忘れないよ。約束。]
というと、ニコッと笑うとお城に向かって走り出した。このとき僕は、思ったんだ。ああ、僕は恋をしたんだなって。