白いレンガの壁。真っ赤な旗。ここは、ナサハ王国のもっとも中心に位置するイア城。国内にある100の城のどれよりも広く、美しい。天井は、一番上まで吹き抜けで、ところどころにステンドグラスの窓が見える。庭園には、バラの花が咲き誇り、噴水からは、絶えず水が流れている。
そして、庭園の一番奥にあるのが、この国の王子様のための個室。と、いってもいいくらい王子様が気にいっている木の洞窟である。洞窟といっても、ただ単に、木や、草花が集まってできたところに、まだ7歳の王子様の体がすっぽり入るくらいの隙間があったということだが。王様や、めし使い達は、ここに行くことを良くは思ってなかった。なぜなら、ここは何年も手入れをしてなくて、ほったらかしにされていたからである。しかし、王子様は、ここが好きだったので、たびたび木の洞窟を訪れていた。いうのを忘れていたが、この国の王子様は、お城と同じ名前のイア.コーハ.カリヤという名前だった。