俺は佐倉が好きで。
キスした相手は間違いなく佐倉なのに。




どうして、ドキドキしないんだろう。







「………ねぇ、永瀬瑞希。
君、佐倉を守るーなんて馬鹿みたいな事、考えてないよね?」





ハルはキスする前と同じように笑った。
俺はというと、ただただ、呆然とするしかなかった。


キスしたときの佐倉の顔は、可愛かった。
でも…………唇が冷たくて。
ハルの心は、きっと死んでいるんだ。








「………だったら何だって言うんだ。」



俺がそう言うと、ハルは急に大爆笑しだした。




「君っ……サクラを守ってると思ってんの?!笑わせないでよ!くはははっ!」






ハルは、俺にすっと近づいて、俺の胸ぐらを掴んだ。


その顔は、佐倉の顔とは思えないほど歪んでいて。

………恐怖すら覚えた。






「………永瀬瑞希くん?君はサクラを守ってるんじゃないよ?」