涙を流し続けるオレを見て、佐倉は困っていた。
そして、花壇の側にしゃがみこむと、何も咲いていないスペースを指して、オレに言った。

「冬になったら、ここにスノードロップが咲くんだ。
それまで、私は死ねないよ。」


フワッと笑う佐倉を見て、ダメだと思った。
佐倉を死なせちゃダメだ。



オレが守らなきゃ。




「………スノードロップ、楽しみにしてるからさ。
咲いたら、一緒に見ような。」



オレがそう言うと、佐倉はうんと頷いて、「枯らさないようにしなきゃ」と笑った。






佐倉は、スノードロップが咲くまでオレの隣にいるだろうか。
ハルは、スノードロップが咲くまで、佐倉をオレの側にいさせてくれるだろうか。



スノードロップが咲いて、また桜が咲くまで。



佐倉は笑っていられるのかな。