佐倉があまりにも切なそうで、オレは思わず立ち上がった。

「オ、オレは望んでねぇぞ?!佐倉の死なんて!!」


なんだか、佐倉が本当に死んでしまう気がした。
ハルの事件もあったし、余計に。


佐倉が、消えてしまう気がした。



しかし、そんなオレの胸のうちを知らない佐倉は、目を丸くしてから、笑い出した。



「別に、ただの花言葉だし、スノードロップは希望が主流だから大丈夫だよ!」


今までフワッと笑う佐倉しか知らなかったから、声をあげて笑う佐倉は初めて見た。
なんつーか………。



「キレー…………。」



花に囲まれて笑う佐倉は、なんだかとてもキレイで。
思わず口に出してしまった。

………ちょっと待て。
オレ、今めっちゃ恥ずかしいこと言った?


今更気付いたってもう遅い。
佐倉はぽけーっと間抜けな顔をしながらオレを見つめた。


「あ、いや。花がね?!あ、違う!佐倉はキレイじゃないとかそういうことじゃないけどな!?」




必死に弁解するオレを見て、再び笑いだす佐倉。


「永瀬って、クールなイメージだったんだけど、意外と照れ屋なんだね!」


「………うるせー!別にそういうわけじゃ………。」



こんな時間が、いつまでも続けば良いのにな。
佐倉と笑って、普通に一日が終わって。


こんな毎日が、ずっと続けば良いのに。




ハルは、そうさせてくれない。




「っ……………。」


「……永瀬?泣いてるの?!」



佐倉は、何も知らない。
自分が何をしてしまったか。
オレが、何をしてしまったか。



この先、どんな未来が待っているかも。



知らないんだ。