家について鞄を開けると、永瀬に借りた本が出てくる。
あの永瀬がオススメの本なんだから、さぞかし難しいんだろうなと、覚悟しながら本を開く。


でも、読んでみると、言うほど難しくない。
それどころか、表現力が豊かすぎて、本の中に引きずり込まれるような感覚。


「ふー…………。」


結局、ノンストップで読んでしまった。


そして次に、私の本を取り出す。
132Pの三行目。犯人の謎を解く鍵があるって、永瀬が言ってたから。


永瀬の言った通り、そこには見過ごしていた不可解な台詞があった。


今まで、永瀬の事はあまり好いてなかったし、正直苦手だった。

でも、食べ物に例えるなら、永瀬の事は食わず嫌いだったんだなーと反省した。
あの時永瀬を殺していたら、今は無かったんだと、改めて、手を差しのべてくれたクラスメートに感謝した。