帰りのホームルームが終わり、みんなが一斉に帰り出す。
「志乃!」
不意にあたしの名前を呼ぶ声が後ろからした。
振り向くと、最近彼氏ができた亜沙美が立っていた。
「あ~亜沙美ー!どうしたの?」
「ごめん、今日一緒に帰れないや。」
胸の前で手のひらを合わせて申し訳なさそうにあたしを見る。
「あ!そっか!わかった!」
本当ごめんねと言わんばかりにぺこぺこ亜沙美は何度も御辞儀した。
あたしは作った笑顔で「じゃあね。」と別れを告げた。
向きを変えてあたしは真っ直ぐ階段を降りていく。
なんで帰れないか理由は聞かなくてもわかる。
みんなそうやって彼氏彼氏彼氏彼氏彼氏彼氏の毎日。
もう少し友達の相手もしてほしいよね。
階段を降り、自分の靴箱を開けようと手をかけたら真っ黒な封筒がその隙間から出てきた。
