「やあ、早いんだな」駅からさっそうと現れた純一の姿は、太陽に照らされ、一段と輝いていた。黒い髪の毛も、その日だけはきれいにそろっているように見えた。

「もう、遅いよ」そう言いながらも、久しぶりの再会に声は上ずんだ。風が少し吹くと、私の髪はなびいた。そして私は純一の腕に巻きついて、渋谷の街へと繰り出した。

 それから二時間、買い物やウィンドウショッピングを楽しんだ。さすがに五回目となると、名所という名所を回ってしまったので、買い物の他にすることがなくなってしまったのだ。そして人混みの中を掻け割っていると、一つの喫茶店に着いた。

「あそこで休憩しよう」純一は少しやつれた顔で言った。

「うん、そうだね」私は純一の顔を見て、そう判断した。