2005年 6月24日 悲劇は起こった
「なんで??ねぇなんで!?!?」
女性警官の悲痛な叫び声が聞こえる
担架の上には10歳ぐらいの男の子が血まみれになって横たわっている
辺りには幾台にも及ぶパトカーと救急車がそれぞれサイレンを鳴り響かせている
「これ、本当に僕がやったの?」
優しい口調でその少年に尋ねる警察官
その後ろには信じられないとでもいうような顔でその少年を見つめる小太りの警部
警察官の質問にただうなづくだけの少年
その少年を恨めしそうに、泣きながらみつめる少女
さっきまで腕に弟を抱えていた
「僕、何才?」
優しそうな警察官がその少年に尋ねる
「…9」
少年が答える
少女は、同じだ、と思った
それと同時に、なんであの子がこんなひどいことができるのかわからなかった
少年の答えを聞いて驚く周りの大人たち
少年に焦りや不安そうな表情はない
怯えてすらない
周りの大人はそれが不思議だった
なぜ9歳であんな殺人の仕方ができるのか…
自分で知識をつけたとは考えにくい
その場にいた警官の一人、神崎正俊は、この子が怖い、と感じていた
どうにかしなければ、と。
ただそれだけが、神崎の思考の中に存在していた
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