その時、 「冷夏!」 どこかで声がした。 あたしを呼ぶ、大好きな声。 「冷夏、冷夏の大好きなヤツ、呼んどいたから」 魁はそういうと、 「ばいばい、冷夏」 あたしが引き止める暇もなく、バイクに乗っていってしまった。 ううん、違う。 暇がなかったんじゃなくて、あたしが引き止めなかったの。 あたし、気づいたよ。 魁が、泣いてたの。 ・・・それに。