――4月8日――

今日から俺、佐藤隆也はここ、私立R高校で働き始める。
都内の公立高校から異動になった。


担当教科は生物。既にサッカー部の顧問を任せられている。



入っての第一印象は、私立だけあって施設も綺麗で
人も上品な人が多い。お嬢様、おぼっちゃまが多いんだろう。


正直、俺には前の高校の方が合っていた気がする。



そんなことを思いながら職員室に着いた。


ガラッ



「失礼します。
 今日から教師として働かせていただきます、佐藤です。」


職員室にいた全ての人の視線が俺に向いている。


これまた、高そうな服を身にまとった大人ばっかりだ。


「あ~、公立○○高校から異動になられた?」


「あっ、はい。そうです」


最初に話しかけてきたのは年配の女の人。教頭っぽいな。


「お待ちしてました~
 今日からよろしくお願いいたします、佐藤先生。」


「はい。よろしくお願いいたします。」


「わたくし、ここの教頭をやっております、桜井です。」


「あっ、はい。桜井教頭ですね。よろしくお願いいたします」



自分の予想が当たったことにびっくりしつつ、気をつかいながらも
あいさつを済ませた。


「校長室でしばらく待っててもらえるかしら?
 もう、白井校長が来られると思うから。」



「あっ、分かりました。」



桜井教頭は、優しい笑みを浮かべながら校長室へ案内してくれた。



それからしばらく、白井校長を待っていた。


これから始めるここでの教師生活は、今まで以上に気をつかい、
疲れるんだろう、と思いながら。