放課後…
「銀さん、ちょっと…」
「あ?…あぁ。」
私は日記帳を持って体育館裏まで銀さんを連れて行った。
「あ、あの銀さん…この日記の最初のページを読んでみて下さい…」
無言で銀さんは受け取るとそれを読み始めた。
 そして最後らへんになるにつれて目がどんどん見開いていった。
「旭…仁…」
「どうしましたか…知っているんですか…」
銀さんは聞いてないような感じで唖然としていた。
「こっちが聞きたい。お前は何でこいつらを知っているんだよ。」
「それが、記憶がないんです。だから、この人たちは誰で、どこに住んでいて、今何をしているかも、わからないんです。」
銀さんはまた目を大きく見開いた。
「記憶がない?なぜ・・・・」
私はただ笑うだけで言えなかった。記憶は三年のころからでいじめの記憶しかない。
 ショックでそんなこと忘れていたのに、最近、じわじわと思いだしつつある。
 でも楽しかった一年生や二年生の思い出は思い出せない。