タカラモノ~桜色の片道切符~

「どうだった?」


ソファーに腰掛け、甘いコーヒーを啜る大地は寝室から出てきた理央に背中で尋ねた



「このカップの4分の1ほど」



大半の人間が食べたとは言わないであろう量だ



「何も食べられないよりは良いよ。点滴での栄養は気休めだから。コーヒーご馳走様」



カップをキッチンに立っている理央に渡すと大地は寝室へと入っていった




「点滴するよ。少しだけ我慢してね」



話しかけながらも、手早く針を刺し、点滴を繋いでいく



「無理はしなくても良いけど、できるだけ食べるようにしてね。傷治したいんでしょ」



『はい』




「君が自分を責める必要なんてどこにもないよ」



え……



「薬変えさせて貰った。眠くなってきたらそのまま眠って。まだ自分で動こうなんて思わないこと。いいね」




何かを察したような言葉の意味を考えようと思ったけれど、段々思考がぼやけてきて、そこから先の記憶はない