タカラモノ~桜色の片道切符~

「美桜」



サイドテーブルにトレイを置くと、美桜を抱き起こし、背中にクッションを積み上げ凭れ掛けさせた。



「兎も角食べてみて。無理なら無理でいいから」



ベッドに腰掛け、冷ました一口を美桜の口元に近づけた



昨日はこの時点で口を開いてくれたけれど、今日はまだ口を開いてくれない。


無理やり押し込みたい気持ちをどうにか押し殺して、根気強く声をかけた



「美桜」


小さく口を開いた口にそっとスープを入れた



「美桜。気持ち悪くない?」



本当に極僅かなポタージュ。乾いた体に染みていく。



「もう一口食べれる?」



小さく頷くと、同じ量を食べさせてくれた。


何度か繰り返し、食べられたのは小さなミルクカップ4分の1ほど


「もう横になろう。点滴してくれるって言ってたから」



ここから出るためにはもう少し回復しないといけない。だから