タカラモノ~桜色の片道切符~

「傷は開いていない。打撲は酷いけど」



寝室から出てきた大地の言葉にホッと胸を撫で下ろした、


怪我は増えてしまったが、傷口が開かなかっただけでも幸いだ。



「今日のことは彼女の不注意。お前のせいじゃない」



「……」



「事件だってそうだろ」


大地の視線が突き刺さる



「彼女、出て行こうとしたんじゃない?」





「……」



唐突に切り出された質問に、答えに詰まった



「あの状態での一人歩きは危ないから、起きているときは出来るだけ目離さない方がいいよ」



「……はい」



「時間経っているし、痛み止め打っていこうと思うけど、食事は?」



チラリと腕時計に視線をやり、再び理央を見た



「まだです。食べさせようと思ったらこんなことに」



「一先ず食べさせてみて。点滴はそれからで良いから」



「はい」



鍋を再び火にかえ、カップに入れるとティースプーンと共にトレイに乗せ、寝室の扉を開け、横になっている美桜に声をかける