タカラモノ~桜色の片道切符~

「すいま「で、何があったわけ?」



扉を開けると、昨日と同じドクターバックを持った大地が立っていた



「……キッチンにいて詳しくはわからないんですが、サイドテーブルで怪我した腕をぶつけたみたいで」



それ以上は何も言わず、理央の横を通ると大地は寝室を目指した



「悪いけどちょっと見せてね。開いていたらもう1回縫わなきゃだから」



そっと美桜の細腕を取ると、慎重に包帯を外していった。



「傷口は大丈夫だね。でも、肘痛いでしょ?」



三角巾から外れた腕は肘から下が真っ青になっていた。


「無茶しちゃだめだよ。辛い思いをするのは自分なんだから。肘曲げられないでしょ?」



小さく頷いた美桜に顔色を変えず、包帯をし直し、新たに出来た内出血に湿布を貼ると新しく包帯を巻いた



「三角巾外すけど、腕あんまり動かさないようにね。ま、動かすと相当痛いだろうから」



言いながら美桜の脇に体温計を挟み、手首を取ると脈を測った


「38度3分。ちょっとキツイね」



外したボタンを留めながら、美桜に語りかけると、リビングにいる理央の元へと向かった