タカラモノ~桜色の片道切符~

地下駐車場で車を降りると、美桜を抱き上げてエレベーターに乗り込んだ。


起こさないように寝室のベッドに寝かせ、空いているスペースに腰を下ろす。



ぐっすりと眠る美桜の唇にそっと触れた。熱のせいでいつもよりも熱い唇


「みお」



強くなろうと決めたあの日。誰かを守れる強さが欲しいと思った。それなのに




「ごめん」



怪我をしていない左手を優しく握った。




どのくらいそうしていただろうか。美桜の瞼がピクリと動いた気がした




「美桜?」



薄っすらと目をあけた美桜の視線はまだ定まっていない。



「美桜。目覚めた?」



『理央くん』



「スープ温めてくるから食って。何か食べないと傷治らないから」



昨日のことのせいか美桜の顔はどこか不安そうだ。


1度頬を撫ぜると、キッチンへと向かった。



魔法瓶から鍋に移し、温めていると、寝室から鈍い、軽い音が聞こえた。