タカラモノ~桜色の片道切符~

「おはよ。起きた?」



美桜が再び目を覚ましたのはお昼を過ぎたあたりだった。



『理央くん』



「病院行くから」




エレベーターで地下駐車場まで降り、助手席に座らせると美桜はまた目を閉じた。リクライニングを限界まで倒し、シートベルトを締める






「すぐ着くから」



髪を撫ぜ、ハンドルを握り直すと、アクセルを踏み込んだ



「はい」


「着きました」



駐車場に車を止めエンジンを切り、もう1度大地に電話をかけると、近くにいたのかすぐに運転席の窓がノックされた



「付いてきて」



美桜を抱き上げ、大地の後ろを着いていくと、正面から離れた職員用の入り口が見えてきた。


大地はIDカードと暗証番号でロックを解除し、二人を中に入れた



「こっち。昨日は救急だったけど、外科3階だから」



なるべく一目につかないルートを通りながら、外科の診察室へと向かう



「ここ入って。彼女そこのベッドにね」



並んだ診察室の1番端にある部屋のカーテンを開けた